福井県立大恐竜学研究所は27日、勝山市北谷町の約1億2千万年前(白亜紀前期)の手取層群で2007年に発掘された化石を使い、国内で初めて恐竜の脳を3次元で復元したと発表した。脳の形状、嗅覚や平衡感覚などをつかさどる神経の位置を詳細に明らかにした。

復元された脳は長さ3・5センチ、幅2・2センチ。07年に全身の7割近くが見つかり現在、研究中の全長4・2メートルの小型獣脚類の化石を使用した。脳を包む八つの骨からなる脳函(のうかん)と呼ばれる部分の化石を画像解析した。

CTスキャナーで断面画像を3方向から計約3千枚撮影。密度の違いから骨は白く、脳や神経があった場所を埋め尽くす石は黒っぽく映る。黒い部分を取り除く処理を施した後、解析ソフトを使ってコンピューターで脳の3次元画像をつくった。さらに画像データを3Dプリンター(3次元印刷機)で出力、立体モデルをつくり上げた。

同研究所の東洋一特任教授は「画像解析の手法により、貴重な化石を傷つけることなく小脳や大脳の形態、神経の太さや位置まで詳細に復元できた」と話した。同教授によると、脳函の化石は勝山を含め国内で3件見つかっているが、脳を復元できるほど完全な化石は勝山だけという。

研究は同大地域貢献研究推進事業に採択され、2014年度に行われた。県庁で27日開かれた成果発表会で報告された。

 

福井県勝山市北谷町で発掘された獣脚類の脳函の化石(右)と復元した脳の3Dモデル
福井県勝山市北谷町で発掘された獣脚類の脳函の化石(右)と復元した脳の3Dモデル