3Dプリンタ、2020年には2015年の10倍の出荷量へ–矢野経調査

矢野経済研究所は12月5日、世界の3Dプリンタ市場の調査結果を公表した。調査は、同社が11月30日に発刊したレポート「2016年版3Dプリンタ市場の現状と展望」に向けて行われたもので、9月から11月にかけて、3Dプリンタメーカー、販売代理店、造形サービス事業者(サービスビューローなど)、ソフトウェア関連企業等に対し、専門研究員による直接面談や電話・メールによるヒアリングを実施、文献調査を併用した。

主な調査結果は以下の通り。

    • 世界市場

2015年の世界の3Dプリンタの出荷台数(メーカー出荷数量ベース)は、前年比72.7%増の19万台となった。市場は60万円未満のローエンド3Dプリンタと60万円以上の産業用ハイエンド3Dプリンタの二極化が進んでおり、このうち出荷台数をけん引するのはローエンド装置で、簡易かつ迅速に試作を行うための導入が進むほか、ものづくりの現場でエンジニアらが3Dプリンタの扱い方を学ぶため教育機関での導入が増加基調にある。

一方、産業用のハイエンド3Dプリンタは、航空宇宙、自動車、医療、家庭用電気製品などの分野を中心に最終製品の造形に向けた導入が拡大基調にあるほか、造形サービス事業者(サービスビューローなど)での導入が増加している。3Dプリンタで造形するものの量が増えるとともに、追加で装置を導入する企業やよりハイエンドの装置にリプレイスする企業も増えている。

3Dプリンタの性能は近年、かつてないスピードで進化しており、装置の性能向上や新しい材料の誕生、製造現場などへの更なる普及により、市場は今後も大きく拡大する見通しとなっている。こうしたことから同社では、今後の世界の3Dプリンタ出荷台数を、2013年から2019年までのCAGRは77.0%で推移し、2019年における出荷台数(メーカー出荷数量ベース)は215万台になると予測している。


3Dプリンタの世界市場規模推移と予測
    • 日本国内

日本国内においては、2013年下期から2014年にかけて起きた3Dプリンタブームの中で、3Dプリンタに対する正確な知識を持たないままで導入するケースも多数みられたことなどから、3Dプリンタに対する過剰な期待が大きな落胆へと変わったと言われている。そのため、2015年は世界市場でけん引役となったローエンド装置を中心に出荷数量が伸び悩んだ。一方で、産業用のハイエンド3Dプリンタに関しては、ユーザーの装置に対する正確な知識も浸透しはじめ、ものづくりの現場における本格導入が日本国内においても堅調である。また、自動車分野や金型製造業、造形サービス事業者等を中心に、3Dプリンタの活用が盛んに行われている。

また、本調査に関連して10月に行ったアンケート調査において、日本国内の3Dプリンタユーザー(現在利用中、または過去に利用経験あり)154人に対して、3Dプリンタで造形しているもの/用途を尋ねた結果が興味深い。その回答は、「試作品」がトップで59.1%だったが、続いて「治具」が24.7%、「最終製品(の一部)(パーツなど)」が20.1%、「金型」が16.9%となった。今のところ、3Dプリンタの活用は未だ試作が中心だが、国内においても3Dプリンタを用いた本格的なものづくりが始まりつつあると言える。


日本国内において3Dプリンタで造形しているもの/用途